3Dメッシュ間の接触のシミュレーション
チュートリアルレベル:中級‘ 本チュートリアルでは、MotionSolveでの3D剛体接触機能、およびシミュレーション中に接触するボディのサーフェスメッシュを用いたメッシュ間の接触アプローチの使用について学習します。
- 各メッシュコンポーネントは、閉空間を形成している必要があるすなわちメッシュには、オープンエッジ(1つの要素のみの一部分であるエッジ)やT接合(共通するエッジで結合しているT字形を成す2つの要素)を含んでいてはならない
- メッシュは均等なサイズでなければならない
- 要素のサーフェスの法線は、接触の方向を指している
- 接触のシミュレーションに適したグラフィック設定のCAD形状をインポート
- マルチボディモデル内のメッシュ化された形状間の3D剛体接触をセットアップ
- 過渡解析を実行し、それらの形状間の接触を計算
- 自動的に生成されたレポートを用いて結果をポスト処理
本チュートリアルでは、溝付きリンクモデルを使用します。
この種の3D剛体のメッシュ化表現についてMotionSolveは、複数のサーフェスメッシュ間の貫通を検知し、続いて貫通の深さと接触力を計算する数値的衝突エンジンを使用します。
- 溝付きリンクモデル
-
溝付きリンク機構(スコッチヨーク機構とも呼ばれる)は、入力の回転運動を、溝付きリンクまたはヨーク部の連続的または断続的な並進運動に変換します。運動は、接触する機構のパート間の接触力を介して伝えられます。接触垂直抗力と摩擦力は共に、運動の伝達に関与し得ます。
このような機構は、バルブアクチュエーター、エアコンプレッサー、一部のレシプロエンジンやロータリーエンジンなどに共通して応用されます。下の図は、本チュートリアルでモデル化される溝付きリンク機構を表しています。
図 1. 溝付きリンク機構. 図に示すとおり、カムが溝付きリンクに接触しており、ピンが溝と接触します。 
CAD形状のMotionViewへの取り込み
- 新しいMotionViewセッションを開始します。
-
メニューバーから をクリックし、Geometry or FEM using HyperMeshを選択します。
図 2. HyperMeshオプションを使用してジオメトリまたはFEMを作成 
Import CAD or FE using HyperMeshダイアログが表示されます。 -
このダイアログ内で、以下のとおり設定します:
-
OKをクリックします。
MotionViewはバックグラウンドでHyperMeshを起動し、形状をメッシングしてその体積のプロパティを計算します。Import CADダイアログが表示されます。このダイアログでは、CADファイル内のコンポーネント、およびそれらの質量、密度、体積のプロパティを確認することができます。
図 4. Import CAD Using the Import CAD or FE Utilityダイアログを使用した CADインポートでのCADコンポーネントリスト 
-
OKをクリックし、Message Logを破棄します。
変換された形状が、目視のためにMotionViewに読み込まれます。ディスプレイをメッシュ化された表現に切り替えることにより、サーフェスメッシュを検証することができます。
- モデルブラウザから、Graphicsをクリックして、利用可能なボディグラフィックスのリストを開きます。
- を選択します。
-
エンティティエディターで、Mesh > Mesh
Lines
をクリックし、 ApplyとOKをクリックします。
図 5. 入力CADジオメトリのコンポーネント全てにメッシュラインを表示 
残りのグラフィックスについて、手順 7-8までを繰り返します。- Pin
- Cam
- Slotted_Link
図 6. 入力CAD形状のコンポーネント全てにサーフェスメッシュを表示 
ジョイントと強制運動の作成
この時点では、モデルには下記のボディとそれぞれ関連付けされたグラフィックが含まれています。
| エンティティ名 | エンティティタイプ | 説明 |
|---|---|---|
| Slotted_Link | Rigid Body | 溝付きリンクボディ |
| Cam | Rigid Body | カムボディ |
| Pin | Rigid Body | ピンボディ。カムボディとピンボディとで溝付きリンクを成す |
| Link | Rigid Body | ピンとカムの間のコネクターボディ |
| Slotted_Link | Graphic | 溝付きリンクボディを表すグラフィック。これは、メッシュ化されたグラフィックです |
| Cam | Graphic | カムのボディを表すグラフィック。これは、メッシュ化されたグラフィックです |
| Pin | Graphic | ピンボディを表すグラフィック。これは、メッシュ化されたグラフィックです |
| Link | Graphic | リンクボディを表すグラフィック。これは、メッシュ化されたグラフィックです |
Pin、Link、およびCamの各ボディは互いに固定されており、カム中央のGround Bodyに置かれます。溝付きリンクは、Ground Bodyに対し並進が可能です。
-
下の一覧の詳細のとおり、ジョイント
を作成します:
S.No ラベル タイプ Body 1 Body 2 Origin Alignment Axis 1 Pin Link Fix 固定ジョイント Pin Link Pin CG 2 Link Cam Fix 固定ジョイント Link Cam Link CG 3 Cam Pivot 回転ジョイント Cam Ground Body 全体座標系の原点 Global Y 4 Slotted Link Slider 並進ジョイント Slotted_Link Ground Body Slotted_Link CG Global X -
DisplacementタイプのCam Pivotジョイント上のモーション
を適用し、`360d*TIME`と定義します。 - モデルをslotted_link_mech.mdlとして保存します。
衝突する形状間の接触の定義
- CamとSlotted_Link
- PinとSlotted_Link
-
Model(モデル)リボンから、エンティティツールバーのContacts(接触)アイコン
をクリックします。
Add Contactガイドバーが表示されます。 - 接触タイプは、3Dを指定します。
-
Body 1をCamに、Body 2をSlotted_Linkに設定し、Createボタン
をクリックします。これにより自動的に、これらのボディに付加している各グラフィックが選択されます。
図 7. Contactsガイドバー 
-
Labelを Cam Slotted LinkContactに変更します。
注: 形状を正しく定義するためには、法線が正しい方向を向き、形状内にオープンエッジまたはT接合が存在しないことが重要です。
-
エンティティエディターでHighlight contact sideチェックボックスを有効にします。これにより、サーフェス法線の方向に従って、この接触力要素について指定されている形状が色づけされます。両形状共、完全に赤く表示されていることを確認します(はっきり視認するには、他のグラフィックを非アクティブにし、その後再度アクティブ化する必要があるかもしれません)。
図 8. Highlight Contact Sideチェックボックス有効 
図 9. 正しくないサーフェス法線のチェック 
赤色の表示はサーフェスの法線で、それが希望する接触の側であることを表します。
-
オープンエッジまたはT接合がないかをチェックします。関連するグラフィックスのメッシュにオープンエッジまたはT接合が存在する場合、Highlight mesh errorsオプションがアクティブとなります。アクティブとなっている場合は、Highlight mesh
errorsのチェックボックスを選択します。
形状内のオープンエッジまたはT接合がハイライト表示されます。この接触エンティティ内の関連するグラフィックには、メッシュのエラーはありません。したがって、No mesh errorsが表示され、グレイアウトされています。
図 10. 
形状はクリーンで、モデル内にオープンエッジやT接合は存在しません。
注: モデルに追加される各接触エンティティについて、MotionViewは自動的にタイプExpressionの出力
を生成します。これは、その接触要素の接触力をプロットするために使用できます。 -
接触のプロパティを指定します。Propertiesタブの下にNormal ForceおよびNormal ForceおよびFriction Forceプロパティサブタブが表示されます。このモデルでは、下記のプロパティをもつImpactモデルを使用します:
- Normal Force
- タイプ
- Impact
- Stiffness
- 1000.0
- Exponent
- 2.1
- Damping
- 0.1
- Penetration Depth
- 0.1
- Friction Force
- タイプ
- Disabled
図 11. Contact エンティティエディター - プロパティグループ 
-
接触力がサーフェスメッシュに付与されている場所を変更します。
- Advancedタブを選択します。
- Force Computed atドロップダウンメニューからNodeを選択します。
図 12. 節点の計算場所の変更 
注: デフォルトでは、接触力はサーフェスメッシュの各要素の中央にかけられています。この設定はほとんどの接触の適用例で満足できるものですが、代わりに接触力をサーフェスメッシュの節点上に付与するようMotionSolveに強制することも可能です。これは幾何学的エッジが接触している場合に便利ですが、計算性能が若干低下します。 - 手順 1- 8を繰り返し、Pinボディ(Body I)とSlotted_Link(Body J)の間の接触を作成します。この接触のラベルをPin Slotted Link Contactとなるよう設定してもよいでしょう。上のStep 8にリストされているのと同じ接触のプロパティを定義します。
-
接触力要素Pin Slotted Link Contactについては、2つの衝突ボディ間で最初に接触が起こる正確な時間をMotionSolveが求めるように指定します。
過渡シミュレーションのセットアップとモデルの実行
この時点で、このモデルについて過渡解析のセットアップを行う準備が整っています。
- モデルブラウザからDefault Analysisをクリックし、エンティティエディターを表示します。
- Analysis Parametersグループに移動し、シミュレーションタイプがTransientに設定されていることを確認し、終了時間を 3.0秒に設定します。
-
正確な結果を得るには、デフォルトよりも小さいステップサイズを指定します。Dynamic Settingsグループに移動し、Maximum Step Sizeを 1e-3に設定します。
図 14. Maximum Step Sizeを指定します。 
- Analyze(解析)リボンから、Run(実行)アイコンの横のAnalysis Settingsをクリックし、Run Motion Analysisダイアログを開きます。
-
Run Offlineオプションを選択し、実行名と結果を書き込むディレクトリを指定し、Runをクリックします。
過渡解析が開始されます。
図 15. 出力ファイル名を指定し、モデルを実行 
HyperWorks Solver Viewダイアログに、この接触計算にはメッシュベースの接触法が使用されることを確認するソルバーからのメッセージが表示されます。図 16. 解析にメッシュベースの接触法が使用されることの確認 
ログファイルには、センサーに関連したメッセージが含まれます。これは、モデル内の第2の接触要素の正確な接触イベントを求めた結果です。図 17. センサーのアクティビティに関連したソルバーメッセージ 
結果のポスト処理

- ソルバーウィンドウを閉じます。
-
結果の統合されたレポートを見るには、Analyze(解析)リボン
Reports(レポート)をクリックします。
これより以前にMotionViewを用いて完了しているシミュレーションのリストが表示されます。
- 本シミュレーションに関連しているContact Reportを選択します。
-
OKをクリックします。
図 19. 接触のレポートの作成 
現在のセッションに複数のページが作成されます。
H3Dを介した接触力の確認
最初のHyperViewページ(セッションでは2番目)には、接触領域にかかる接触力のベクトルアニメーションが表示されます。これをモデリングウィンドウではっきりと見るには、1つまたは複数のパートの表示をオフにします。これは、下の図に示すとおりです。

接触の概要
Page Navigationアイコン
を使って、次のページに進みます。
セッション内の3番目のページでは、接触シミュレーションの全体的な概要を知ることができます。このページには、サマリーを集計したテーブルと、シミュレーション全体の貫通量を表示するHyperViewウィンドウが含まれています。このテーブルでは、最大貫通深さと最大力をまとめています。このページでは、モデル内で起こっている接触現象を俯瞰的に見ることができます。貫通深さのコンターは、シミュレーションの全期間中に接触しているすべての領域をハイライト表示した静止画像です。

H3Dを介した貫通の深さの可視化
次のページに進みます。
セッション(HyperView)内の4番目のページでは、シミュレーションの過程での貫通の深さを視覚化することができます。
-
Start/Pause Animationアイコン
をクリックし、結果をアニメーション表示します。
-
グラフィックス表示をTransparent ElementsおよびFeature Linesにセットします。
図 22. 表示をTransparent Elements and Feature Linesにセット 
下図に示すように、アニメーションが表示されます。図 23. Cam BodyとSlotted Linkの間の貫通 
MotionSolve出力の可視化
-
Vectorパネルに移動します、
。
-
Result typeにドロップダウンメニューから結果のタイプを選択し、Applyをクリックします。
これで、モデル内の関連するグラフィックのすべてについて、選択した結果タイプがプロットされます。それらを見るには、荷重ベクトルをスケーリングする必要があるかもしれません。
図 24. 接線力のスケーリング 
一例として下の図では、点の滑り速度のベクトルがプロットされています:図 25. 点の滑り速度のベクトル 
ABFを介した接触力のプロッティング

他の出力リクエストの手動によるプロッティング
-
Add Pageをクリックし、クライアントをに変更します(まだ選択されていない場合)。
図 27. ページの追加 
-
シミュレーションモデルのABF出力ファイルを開きます
。
-
Y Sourceで、TypeにExpressionsを選択し、Requestsウィンドウでリクエストを選択します。
RequestにREQ/70000003 Pin Slotted Link Contact on Slotted_Link (Force – Pin Slotted Link Contact)を選択し、Component to plotにF4を選択します。
図 28. ABFファイルを開き、要求された出力を選択 
-
Plotをクリックします。
図 29. HyperGraphでの接触力の可視化 
- セッションをslotted_link.mvwとして保存します。
まとめ
本チュートリアルでは、CAD形状から良好なメッシュ表現を生成する方法を学びました。さらに、メッシュ化された形状間の接触のセットアップ方法を理解しました。また、形状を検証し、サーフェスの法線が正しい向きにあり、オープンエッジやT接合がないことが確認できました。
また、過渡解析をセットアップして、これらの形状間の接触力を計算し、接触力リクエストのプロッティングに加え、結果をベクトルプロットとコンター図でポスト処理しました。

